理事長挨拶
本学会は2007年9月に設立されました。前理事長高崎健東京女子医科大学名誉教授のリーダーシップのもとにインターネットを通して、様々な医療課題を国民にわかりやすく解説し情報提供してまいりました。
現代社会は、少子高齢化の進展、ITの進歩などで急速に変貌しつつあります。医療分野では、多様化する疾病と治療体制、保険財政の逼迫、医師不足など多くの課題を抱えつつも、革新的な新薬や医療機器の開発、治療技術の進歩などがあります。多様な医療課題の解説に加え、医療を提供する側の有益な取り組みやトピックスも分かりやすく情報提供し、国民医療に貢献していきたいと考えております。
かつて見られなかったような新型コロナウィルスによる衝撃的パンデミックが全世界に伝播し、人類史上最悪な医療危機をひきおこしてしまいました。この大難によって人々の生活は大きく傷つき、現代社会には大きな課題を残すことになりました。
世界の医療は、目先の死亡率の高い循環器疾患や悪性腫瘍などを標的として診断治療に亘る医療技術の開発に多大な予算を費やし、成果を示してきました。14世紀に発生したペストの大流行では世界人口の20%が死亡したとされており、あの恐怖の黒死病以降、感染防止対策によって数々の感染症を乗り切りきって来ました。しかし、いつしか感染症の脅威を忘れてしまっていました。これほどの大きな社会崩壊が生じてしまう現在の感染症への対策、医療提供体制を、今見直さなければならなくなりました。
ワクチンの開発と備蓄、治療薬の開発、個人開業医や病院機構の再構築に加え、日常生活や通勤通学等の移動、社会活動、経済活動にわたる抜本的な感染予防対策の見直しが必要になります。
人類は自然の脅威を乗り越えることはできないでしょうが、いかにして共生するかを考えなければならないのです。情報化が進む現代社会には、幸いAIが進歩しつつあります。この技術を活用して上述したごとく新しい医療提供体制を構築すべき時期に来たと考えます。
そして日本医療学会では会員各位の意見を聞きつつ国民の医療の在り方を追求し、社会に対して医療のあるべき姿について発信していく所存です。
2021年9月8日
プロフィール
加藤 治文(かとう・はるぶみ)
専門分野:呼吸器外科
経歴:
東京医科大学卒、同大学院修了、スウェーデン・カロリンスカ研究所留学、前東京医科大学外科学第一講座主任教授、東京医科大学副学長、東京医科大学臨床プロテオームセンター長
日本肺癌学会理事長、日本レーザー医学会理事長、国際肺癌学会理事長、日本臨床細胞学会理事長、日本外科学会評議員・理事、日本呼吸器外科学会評議員・理事、日本呼吸器内視鏡学会評議員・理事、日本呼吸器学会代議員、日本臨床腫瘍学会評議員、日本癌治療学会評議員・理事、国際肺癌学会会長、国際細胞学会会長、国際レーザー医学会会長、国際光線力学学会会長、国際気管支学会会長、日本臨床プロテオーム研究会会長、日本光線力学学会会長などを歴任
公官庁:
科学技術庁、通産省工業技術院、厚生省、日本学術会議研連、文部省、文科省、日本医師会、厚労省等の専門員などを歴任
賞:
1986日本臨床細胞学会学会賞、1997日本気管支学会池田賞、
1998国際細胞学会Goldblatt賞(米国)、1999国際胸部疾患学会Distinguished Fellow Award(米国)、2005国際光線力学学会 The “von Tappeiner” Medal(ドイツ)、
2005国際肺癌学会IASLC Merit Award(米国)、2007日本医師会優功賞
2017 Song Eum Prize(韓国) 2019国際光線力学学会 Gold Medal Award(米国)
経緯
2006年
設立準備委員会を設置し、同委員会コア会議を重ね、第2次システムによりテストシンポジウムを行う。(こどもの救急をみなで考えよう、安全で快適な出産を国民へ、わが国の「専門医」とは何か、新型インフルエンザの日本上陸に備える)
2007年
第3次システムを用いて 約300名のテスト会員によるテストシンポジウム(新型インフルエンザ)を開催する。
“日本医療学会”の商標登録完了。
国民各界にまたがる11名の方々が本学会の設立趣意に賛同され発起人代表となる。
設立趣意書を発送し、1600人を越える方々が賛同し発起人となる。
新システムを用いて最終テストシンポジウムを行う。
2007年
9月26日 日本医療学会設立
2010年9月27日
法人化 一般社団法人日本医療学会となる
[設立趣意書]
『わが国の医療は、諸外国と比較して国民に対して良い体制と考えられて参りました。しかしながら、社会経済情勢の変化と共に、医療従事者の努力にもかかわらず医療に対する信頼は揺らいでいるように思われます。このような現状には、医療技術や医療環境ならびに社会構造の急速な変化や国民の価値観の多様化などに伴うインフォメーションギャップの拡大が大きく関わっていると考えられます。
私たちは、国民各層の方々との議論を通じてインフォメーションギャップを解消し、二十一世紀における日本の医療が進むべき方向を討議し、改善策の策定と実現を目指す日本医療学会を設立することにいたしました。本学会の目標は、国民各層からの健康生活に関する意見と議論を通して共通認識を構築し、皆様で医療のあり方を考え、更には医療保健政策を提言していくことにあります。本学会の目標は、国民各層からの健康生活に関する意見と議論を通して共通認識を構築し、皆様で医療のあり方を考え、更には医療保健政策を提言していくことにあります。本学会は「国民による国民のための医療の実現」を目指します。』