医事法制

混合診療

【混合診療(保険診療と保険外診療の併用)について】
我が国の医療制度には、健康保険として認められている保険診療と、認められていない保険外診療(自由診療)の二つがあります。一つの病気の一連の診療の中で、この両者を併せて行うことは混合診療として禁止されており、そのような時には全ての診療を自由診療として扱うとされています。

「保険医療機関及び保険医療養担当規則」第十八条 (特殊療法等の禁止)「保険医は特殊な療法又は新しい療法等については、厚生労働大臣の定めるもののほか行つてはならない」とされています。

これに対し近年患者側からは保険外の最新医療も受けたいという要望が多く出されてきた結果、混合診療問題が多く取り上げられてきたのです。患者としては保険診療であろうと保険外の自由診療であろうと、より良い治療を受けたいと考えるのは至極当然なことであります。

【患者側からは】
*保険診療、自由診療の区別無く全てを健康保険負担で行なうべきである。
*自由診療部分のみは自己負担するので混合診療を認めるべき。
などの要望が出されています

【厚生労働省は】
*自由診療部分も健康保険負担にすると保険財政が崩壊する。
*混合診療を認めると科学的根拠のない安全性が保証されていない治療が自由診療として行なわれ危険がある。
との理由で混合診療解禁には消極的でした。

【日本医師会は】
*混合診療解禁には反対。
*必要な医療は保険適応とするべきである。
*保険財政の悪化は保険料のアップや税金からの補填で対応すべきである。
 しかし一方で、
*現実社会の中での保険財政を考えれば混合診療は禁止すべきである。
とする意見も 聞かれる。

【先進医療】
そこで厚生労働省は、保険適用外の最新医療を受けたいという患者側からの要望が多いことに鑑み、特定療養費制度として「高度先進医療」と「選定医療」を制度化した。

これは申請を受けて国が認可した特定の「先進医療」を、認定された施設で行なう場合に限り混合診療を認めるという制度であり、保険診療部分の診療費は健康保険が負担、自由診療部分は患者負担とするという制度である。

これに対しても日本医師会は 「国民がすべて公平・平等に最適な医療を受けられる環境を整えなければならず、貧富の差で 医療内容が左右されることは容認出来ない」としております。

またその他の意見として 個々に高度先進医療として 承認してゆく やり方は医師の裁量権の中での工夫、技術開発の意 欲 を殺ぐ可能性があるとの意見もあります。